今回は、私の農場(新葉ファーム)で使用している堆肥のお話です。
新葉ファームは、(株)SUNRISE CATTLE FARM(以下SCF)さんから堆肥を購入しています。
堆肥とは、色々な有機物が微生物の力によって成分が安定化されるまで腐熟したものですが、今回は、動物性堆肥である、SCFさんの牧場の牛のフン尿がしっかりとした堆肥になる過程を紹介したいと思います。
SCFさんの牧場の様子は、前回記事より見てもらえたら嬉しいです。
堆肥が臭くない?
SCFさんの堆肥は全く臭いがありません。
そもそもSCFさんの牧場は、どこを覗いてもフン尿特有の、アンモニア臭が全くしません。
掃除をしっかりしているから?
消臭剤を使っているから?
その答えは、牛さんが食べているエサにヒントがありました!
おいしい牛乳のために
酪農家は、牛乳を牛から搾ります。
人間で例えると、牛乳は母乳です。
母体が元気で、健康でないとおいしい牛乳は搾れません。
SCFさんはおいしい牛乳をしぼるため、牛に与えるエサに一工夫しています。
それは「乳酸菌」を使用している事です。
エサに乳酸菌を混ぜることで、腸内環境を保ち、健康力を上げています。
その乳酸菌のおかげで、ふん尿も臭いがしないのです。
堆肥が寝床?
私が知ってる酪農家さんの牛は、寝床にオガクズやワラなどが敷いてあったと記憶しています。
SCFさんの牛舎では、『戻し堆肥』といって、堆肥を寝床に敷いています。
これってかなりすごいことなんです。
乳牛は、牛のお腹にある乳房から、牛乳を搾ります。
この戻し堆肥を寝床にすると、牛が横たわる時、乳房が直接触れるため、
粗悪な堆肥であれば、乳房炎となり、牛に致命的なダメージを与えてしまうのです。
SCFさんの牛舎には800頭の乳牛がいますが、この戻し堆肥が原因で病気になる牛は0です。
それだけ、この堆肥が素晴らしいことを、牛自身が証明しているのです。
手で触ってみた
この堆肥は、嫌気発酵です。
切り返しや、空気に触れさせて、一気に熱を上げて発酵させる好気発酵の方法とは違います。
ゆっくりと微生物の力のみで発酵を促すのです。
そのため長い期間、発酵に時間が掛かるのです。
その分、菌が活性化していて、菌の生息数が多いです。
手で触ってみました。
悪い堆肥だと、手で触ったあと、ベタベタしますが、
SCFさんの堆肥は、とても粒が丸くて、手が汚れません。
堆肥を使う
私の畑では堆肥を、3t/10aほど使用します。
籾殻と混ぜて1年以上寝かせてから使用します。
SCFさんの堆肥は、肉牛の堆肥に比べると、水分が少し多いので、多めに施用する方が良いと思います。
近年、「有機質肥料を使いましょう」という流れの中で、身近にある有機物をどう使いこなしていくかは重要課題だと感じています。
開業してからずっと使用していますが、開業初年度より、
支柱がこんなに深く突き刺さるまでの土になりました。
よい牛を管理されている方の、堆肥を利用させて頂けることは、本当に幸せなことです。
作物を作るのに、こんな堆肥が使われていることを知って貰えたら、嬉しいです。
コメント